ロシアの国旗について
ロシアの国旗は、上から「白・青・赤」の横縞模様で構成される三色旗(トリコロール)です。シンプルに見えますが、この配色は東欧諸国の国旗に絶大な影響を与えた「汎スラヴ色」の元祖であり、ロシア帝国の栄華からソ連時代の封印、そして現代への復活という、ドラマチックな歴史を持っています。
1. デザインと色の意味
現在、ロシア連邦の法律において、国旗の3色に対する「公式な意味」は定められていません。しかし、歴史的・文化的に広く信じられている解釈がいくつか存在します。
- 一般的な解釈(美徳と精神性)
- 白:「高貴」「純潔」「真実」「自由」「独立」
- 青:「名誉」「忠誠」「貞節」そしてロシアの守護者である「聖母マリア」
- 赤:「勇気」「愛」「力」そして「国家のために流された血」や「大国としての力強さ」
- 歴史的な解釈(全ルーシの象徴)
かつてのロシア帝国時代には、この3色はロシア皇帝が支配する3つの地域(民族)を象徴しているとされていました。
- 白:白ロシア(現在のベラルーシ)
- 青:小ロシア(現在のウクライナ)
- 赤:大ロシア(現在のロシア本国)
2. 国旗の歴史と由来:オランダからの影響
ロシアの三色旗は、17世紀に誕生しました。そのルーツには海軍と、当時の造船先進国であったオランダが深く関わっています。
① 初の軍艦とオランダ国旗(1668年) ロシア皇帝アレクセイ(ピョートル大帝の父)の時代、ロシア初の国産軍艦「オリョール号」が建造されました。この時、指導にあたったオランダ人の造船技師が「船には国籍を示す旗が必要です。私の母国オランダのように」と進言しました。 これにより、 オランダ国旗(赤・白・青)の色を取り入れた旗 が作られたのが起源とされています(当時の正確なデザインは不明ですが、色は同じでした)。
② ピョートル大帝による確定(1705年) その後、ロシアを近代化へと導いたピョートル大帝が、この白・青・赤の三色旗を非常に気に入り、1693年に自らの船の旗として使用しました。 そして1705年、 「すべてのロシアの商船はこの白・青・赤の旗を掲げること」 を命じる布告を出し、事実上の国旗として定着させました。
③ 幻の「黒・黄・白」時代(1858年〜1883年) 実は19世紀半ば、ロシア国旗が一度全く違う色になった時期があります。アレクサンドル2世が、ロマノフ王朝の紋章(金色の背景に黒い双頭の鷲)に由来する 「黒・黄・白」 の横三色旗を公式な国旗として制定しました。 しかし、この旗は「皇帝(ロマノフ家)の旗」としての意味合いが強すぎたため国民には不評で、結局1883年に次の皇帝アレクサンドル3世が、再び伝統的な「白・青・赤」の旗を市民が使うことを認め、1896年に正式に国旗として復活させました。
④ ソ連時代における「封印」(1917年〜1991年) 1917年のロシア革命により帝国が崩壊し、社会主義国家「ソビエト連邦(ソ連)」が誕生すると、国旗は共産主義の象徴である 「赤地に金色の鎌と槌、星」 (赤旗)に変更されました。 この時代、かつての白・青・赤の旗は「打倒された旧体制(帝政)」や「反革命軍(白軍)」の象徴とみなされ、長らく国内で使用が禁止(封印)されました。
⑤ ソ連崩壊と「三色旗」の復活(1991年〜現在) 1991年、ソ連の崩壊(8月クーデター事件など)に伴い、民主化を求める市民たちはソ連の赤旗に抗議し、かつての「白・青・赤」の三色旗を掲げて戦いました。この結果、新生ロシア連邦の国旗として約70年ぶりに三色旗が復活を果たし、現在に至ります。
3. 世界中に影響を与えた「汎スラヴ色(Pan-Slavic colors)」
ロシアの国旗を語る上で絶対に外せないのが、 「汎スラヴ色」 としての役割です。 19世紀、東ヨーロッパやバルカン半島でオスマン帝国やオーストリア帝国などの支配下にあったスラブ系の民族(セルビア人、チェコ人、スロバキア人など)が、独立運動を展開しました(汎スラヴ主義)。
この時、彼らはスラブ民族の長兄的な存在であり、唯一の独立した大国であったロシア帝国の国旗(白・青・赤)の色を「スラブ民族の連帯のシンボル」として自分たちの旗に採用しました。 そのため現在でも、 セルビア、スロバキア、スロベニア、クロアチア、チェコ などの国旗は、すべてこのロシア由来の「白・青・赤」の組み合わせで構成されています。
4. 知っておきたい豆知識・最新事情
- フランス国旗・オランダ国旗との見分け方
- フランス(トリコロール):青・白・赤の「縦」縞。
- オランダ:赤・白・青の「横」縞(ロシアと色が同じですが、一番上が赤、下が青)。
- ロシア:白・青・赤の「横」縞。
- 大統領旗には「双頭の鷲」 ロシアの一般の国旗はシンプルな3色ですが、ウラジーミル・プーチン大統領の執務室などで見かける大統領旗には、国旗の中央にロシアの巨大な国章である 「双頭の鷲(頭が2つある金の鷲)」 が描かれています。これは東ローマ帝国から受け継いだ伝統的な紋章です。
- 反戦シンボル「白・青・白」の旗 2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア国内外の反戦活動家や反体制派の人々が、独自の旗を使用し始めました。 それは、現在の国旗から一番下の「赤」を取り除き、代わりに「白」を入れた 「白・青・白」の旗 です。 彼らは「下の赤い色は『血』や『暴力』、帝国主義を連想させるため、それを洗い流して平和と自由なロシアを目指す」というメッセージを込めてこの旗を使っています(※これは中世に存在した、民主的な交易国家『ノヴゴロド共和国』の旗の色に由来しています)。
以上のように、ロシアの国旗は、造船技師のアイデアから生まれ、帝国時代からソ連時代を経て何度も歴史の波に翻弄されながらも、現代に生き残った「ロシアそのものの歴史」を体現している旗なのです。
素材について
ロシアの国旗は、上から「白・青・赤」の横縞模様で構成される三色旗(トリコロール)です。シンプルに見えますが、この配色は東欧諸国の国旗に絶大な影響を与えた「汎スラヴ色」の元祖であり、ロシア帝国の栄華からソ連時代の封印、そして現代への復活という、ドラマチックな歴史を持っています。
1. デザインと色の意味
現在、ロシア連邦の法律において、国旗の3色に対する「公式な意味」は定められていません。しかし、歴史的・文化的に広く信じられている解釈がいくつか存在します。
- 一般的な解釈(美徳と精神性)
- 白:「高貴」「純潔」「真実」「自由」「独立」
- 青:「名誉」「忠誠」「貞節」そしてロシアの守護者である「聖母マリア」
- 赤:「勇気」「愛」「力」そして「国家のために流された血」や「大国としての力強さ」
- 歴史的な解釈(全ルーシの象徴)
かつてのロシア帝国時代には、この3色はロシア皇帝が支配する3つの地域(民族)を象徴しているとされていました。
- 白:白ロシア(現在のベラルーシ)
- 青:小ロシア(現在のウクライナ)
- 赤:大ロシア(現在のロシア本国)
2. 国旗の歴史と由来:オランダからの影響
ロシアの三色旗は、17世紀に誕生しました。そのルーツには海軍と、当時の造船先進国であったオランダが深く関わっています。
① 初の軍艦とオランダ国旗(1668年) ロシア皇帝アレクセイ(ピョートル大帝の父)の時代、ロシア初の国産軍艦「オリョール号」が建造されました。この時、指導にあたったオランダ人の造船技師が「船には国籍を示す旗が必要です。私の母国オランダのように」と進言しました。 これにより、 オランダ国旗(赤・白・青)の色を取り入れた旗 が作られたのが起源とされています(当時の正確なデザインは不明ですが、色は同じでした)。
② ピョートル大帝による確定(1705年) その後、ロシアを近代化へと導いたピョートル大帝が、この白・青・赤の三色旗を非常に気に入り、1693年に自らの船の旗として使用しました。 そして1705年、 「すべてのロシアの商船はこの白・青・赤の旗を掲げること」 を命じる布告を出し、事実上の国旗として定着させました。
③ 幻の「黒・黄・白」時代(1858年〜1883年) 実は19世紀半ば、ロシア国旗が一度全く違う色になった時期があります。アレクサンドル2世が、ロマノフ王朝の紋章(金色の背景に黒い双頭の鷲)に由来する 「黒・黄・白」 の横三色旗を公式な国旗として制定しました。 しかし、この旗は「皇帝(ロマノフ家)の旗」としての意味合いが強すぎたため国民には不評で、結局1883年に次の皇帝アレクサンドル3世が、再び伝統的な「白・青・赤」の旗を市民が使うことを認め、1896年に正式に国旗として復活させました。
④ ソ連時代における「封印」(1917年〜1991年) 1917年のロシア革命により帝国が崩壊し、社会主義国家「ソビエト連邦(ソ連)」が誕生すると、国旗は共産主義の象徴である 「赤地に金色の鎌と槌、星」 (赤旗)に変更されました。 この時代、かつての白・青・赤の旗は「打倒された旧体制(帝政)」や「反革命軍(白軍)」の象徴とみなされ、長らく国内で使用が禁止(封印)されました。
⑤ ソ連崩壊と「三色旗」の復活(1991年〜現在) 1991年、ソ連の崩壊(8月クーデター事件など)に伴い、民主化を求める市民たちはソ連の赤旗に抗議し、かつての「白・青・赤」の三色旗を掲げて戦いました。この結果、新生ロシア連邦の国旗として約70年ぶりに三色旗が復活を果たし、現在に至ります。
3. 世界中に影響を与えた「汎スラヴ色(Pan-Slavic colors)」
ロシアの国旗を語る上で絶対に外せないのが、 「汎スラヴ色」 としての役割です。 19世紀、東ヨーロッパやバルカン半島でオスマン帝国やオーストリア帝国などの支配下にあったスラブ系の民族(セルビア人、チェコ人、スロバキア人など)が、独立運動を展開しました(汎スラヴ主義)。
この時、彼らはスラブ民族の長兄的な存在であり、唯一の独立した大国であったロシア帝国の国旗(白・青・赤)の色を「スラブ民族の連帯のシンボル」として自分たちの旗に採用しました。 そのため現在でも、 セルビア、スロバキア、スロベニア、クロアチア、チェコ などの国旗は、すべてこのロシア由来の「白・青・赤」の組み合わせで構成されています。
4. 知っておきたい豆知識・最新事情
- フランス国旗・オランダ国旗との見分け方
- フランス(トリコロール):青・白・赤の「縦」縞。
- オランダ:赤・白・青の「横」縞(ロシアと色が同じですが、一番上が赤、下が青)。
- ロシア:白・青・赤の「横」縞。
- 大統領旗には「双頭の鷲」 ロシアの一般の国旗はシンプルな3色ですが、ウラジーミル・プーチン大統領の執務室などで見かける大統領旗には、国旗の中央にロシアの巨大な国章である 「双頭の鷲(頭が2つある金の鷲)」 が描かれています。これは東ローマ帝国から受け継いだ伝統的な紋章です。
- 反戦シンボル「白・青・白」の旗 2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア国内外の反戦活動家や反体制派の人々が、独自の旗を使用し始めました。 それは、現在の国旗から一番下の「赤」を取り除き、代わりに「白」を入れた 「白・青・白」の旗 です。 彼らは「下の赤い色は『血』や『暴力』、帝国主義を連想させるため、それを洗い流して平和と自由なロシアを目指す」というメッセージを込めてこの旗を使っています(※これは中世に存在した、民主的な交易国家『ノヴゴロド共和国』の旗の色に由来しています)。
以上のように、ロシアの国旗は、造船技師のアイデアから生まれ、帝国時代からソ連時代を経て何度も歴史の波に翻弄されながらも、現代に生き残った「ロシアそのものの歴史」を体現している旗なのです。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | ロシアの国旗 |
|---|---|
| キーワード | ロシア, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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