フィンランドの国旗について
フィンランドの国旗、通称「シニリスティリップ(Siniristilippu=青十字旗)」について、そのデザインに込められた美しい自然の情景、独立を巡る「赤か青か」の大論争、そして夏至祭における特別なルールまで、詳しく解説します。北欧デザインの国らしく、極めてシンプルで洗練されていますが、そこには過酷な歴史と自国の自然への深い愛が込められています。
1. デザインと色の意味:「雪と湖」の詩的な由来
白地に青い十字架(スカンジナビア十字)が描かれています。この2色には、フィンランドの雄大な自然環境がそのまま投影されています。
- 白(背景) 長く厳しい冬の間に国土を覆い尽くす 「純白の雪」 と、夏のフィンランドを象徴する 「白夜(沈まない太陽の明るさ)」 を表しています。
- 青(十字架) 「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドに無数に存在する 「千の湖」 、そして澄み切った 「青空」 を表しています。
- 由来となった詩人の言葉 この「白は雪、青は湖」というロマンチックな解釈は、19世紀のフィンランドの国民的詩人 サカリ・トペリウス が1870年に提唱した「我らの湖の青と、我らの冬の雪の白」という言葉がそのまま国の公式な意味として定着したものです。
2. 「青十字旗」の歴史:赤・黄か、青・白かの大論争
フィンランドは歴史上、長らく西のスウェーデンと東のロシア帝国に支配されており、自分たちの国旗を持てない時代が続きました。
① 独立運動と「国旗のカラー論争」(19世紀末〜) ロシア帝国の支配下にあった19世紀後半、独立の機運が高まると「フィンランド独自の国旗を作ろう」という運動が起きました。この時、国内を二分する 「国旗の色を何色にするか論争」 が勃発します。
- 赤と黄色 派:フィンランドの伝統的な国章(赤い背景に、剣を持った金のライオン)に由来する「赤と黄色」を使うべきだという主張。
- 青と白色 派:前述の詩人トペリウスらが提唱する、自然を象徴する「青と白」を使うべきだという主張。
② ロシアからの独立と内戦(1917年〜1918年) 1917年、ロシア革命の混乱に乗じてフィンランドは悲願の独立を果たします。しかし直後に、国内で「赤軍(社会主義・ロシア寄り)」と「白軍(保守派・反ロシア)」による凄惨な フィンランド内戦 が勃発してしまいます。
③ 「青と白」の最終決定(1918年) 内戦は「白軍」の勝利に終わりました。新政府が国旗を制定する際、「赤色」は敗北した赤軍や、長年支配されたロシア(ソ連)の赤旗を連想させるため、強烈な拒否反応が起きました。 その結果、伝統的な国章の「赤と黄色」は却下され、平和と自然を象徴する 「青と白の十字旗」 がフィンランドの正式な国旗として1918年5月に制定されました。(現在のデザインは芸術家エーロ・スネルマンとブルーノ・トゥッカネンが完成させました)。
3. 用途で変わる「3種類の国旗」
フィンランドの国旗には、使う人や場所によってデザインの異なる3つのバリエーションが存在します。
- 市民旗(ナショナル・フラッグ) 私たちがよく目にする、 「白地に青い十字」だけのシンプルな旗 です。一般市民が家やボートに掲げたり、スポーツの応援で使ったりするのはすべてこの旗です。
- 政府旗(ステート・フラッグ) 十字が交差するど真ん中に、フィンランドの国章である 「赤い四角形に金のライオン」 が描かれている旗です。これは国会議事堂や政府機関、大使館などのみが使用できる公式な旗です。(※このライオンが、東の脅威=ロシアを象徴する三日月刀を踏みつけているデザインになっています)。
- 軍旗(ウォー・フラッグ) 政府旗と同じく中央にライオンの国章がありますが、旗の右側(風になびく方)が四角形ではなく、 「ツバメの尾(燕尾)」のように3つのギザギザの尖った形 に切り抜かれています。これはフィンランド軍(国防軍)のみが使用する非常に厳格な旗です。
4. 知っておきたい豆知識(トリビアと厳格なルール)
- 夏至祭(ユハンヌス)の特別な「徹夜ルール」 フィンランドでは国旗を掲げる日(フラッグ・デー)がカレンダーで細かく決まっています。通常のルールでは「朝8時に掲揚し、日没(または夜の9時)に降ろす」と定められています。 しかし、1年で最も昼が長い 「夏至祭(6月下旬)」の日だけは特別な法律の特例 があります。この日は白夜(夜になっても太陽が沈まない、または明るい)を祝うため、 「夏至祭イブの夕方18時に国旗を掲げ、翌日の夜21時まで一晩中ずっと降ろさずに掲げっぱなしにする」 ことが国を挙げて行われます。
- 絶対にやってはいけない処分方法 国旗を洗うことは許可されています(汚れた国旗を掲げるのは法律違反になるため)。しかし、古くなって色褪せたり破れたりした国旗を そのままゴミ箱に捨てることは法律で厳しく禁止 されています。 正しい処分方法は、「敬意を払って焼却する」か、「十字の形が完全に分からなくなるように(ただの青と白の布切れになるように)細かく切り刻んでから捨てる」のどちらかです。
- 青色の厳密な指定(2004年) 長い間「海の青」などと曖昧だった青色ですが、2004年に政府がカラーコード(Pantone 294 C)を厳格に規定しました。これは少し暗めで深みのある、非常に落ち着いた美しいネイビーブルーに近い色合いです。
以上のように、フィンランドの国旗は「北欧の美しい自然」を詩的に表現した究極のシンプルデザインでありながら、隣国ロシアへの抵抗と内戦という血塗られた歴史を乗り越えて選ばれた「平和への強い決意(白と青)」が込められた国旗なのです。
素材について
フィンランドの国旗、通称「シニリスティリップ(Siniristilippu=青十字旗)」について、そのデザインに込められた美しい自然の情景、独立を巡る「赤か青か」の大論争、そして夏至祭における特別なルールまで、詳しく解説します。北欧デザインの国らしく、極めてシンプルで洗練されていますが、そこには過酷な歴史と自国の自然への深い愛が込められています。
1. デザインと色の意味:「雪と湖」の詩的な由来
白地に青い十字架(スカンジナビア十字)が描かれています。この2色には、フィンランドの雄大な自然環境がそのまま投影されています。
- 白(背景) 長く厳しい冬の間に国土を覆い尽くす 「純白の雪」 と、夏のフィンランドを象徴する 「白夜(沈まない太陽の明るさ)」 を表しています。
- 青(十字架) 「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドに無数に存在する 「千の湖」 、そして澄み切った 「青空」 を表しています。
- 由来となった詩人の言葉 この「白は雪、青は湖」というロマンチックな解釈は、19世紀のフィンランドの国民的詩人 サカリ・トペリウス が1870年に提唱した「我らの湖の青と、我らの冬の雪の白」という言葉がそのまま国の公式な意味として定着したものです。
2. 「青十字旗」の歴史:赤・黄か、青・白かの大論争
フィンランドは歴史上、長らく西のスウェーデンと東のロシア帝国に支配されており、自分たちの国旗を持てない時代が続きました。
① 独立運動と「国旗のカラー論争」(19世紀末〜) ロシア帝国の支配下にあった19世紀後半、独立の機運が高まると「フィンランド独自の国旗を作ろう」という運動が起きました。この時、国内を二分する 「国旗の色を何色にするか論争」 が勃発します。
- 赤と黄色 派:フィンランドの伝統的な国章(赤い背景に、剣を持った金のライオン)に由来する「赤と黄色」を使うべきだという主張。
- 青と白色 派:前述の詩人トペリウスらが提唱する、自然を象徴する「青と白」を使うべきだという主張。
② ロシアからの独立と内戦(1917年〜1918年) 1917年、ロシア革命の混乱に乗じてフィンランドは悲願の独立を果たします。しかし直後に、国内で「赤軍(社会主義・ロシア寄り)」と「白軍(保守派・反ロシア)」による凄惨な フィンランド内戦 が勃発してしまいます。
③ 「青と白」の最終決定(1918年) 内戦は「白軍」の勝利に終わりました。新政府が国旗を制定する際、「赤色」は敗北した赤軍や、長年支配されたロシア(ソ連)の赤旗を連想させるため、強烈な拒否反応が起きました。 その結果、伝統的な国章の「赤と黄色」は却下され、平和と自然を象徴する 「青と白の十字旗」 がフィンランドの正式な国旗として1918年5月に制定されました。(現在のデザインは芸術家エーロ・スネルマンとブルーノ・トゥッカネンが完成させました)。
3. 用途で変わる「3種類の国旗」
フィンランドの国旗には、使う人や場所によってデザインの異なる3つのバリエーションが存在します。
- 市民旗(ナショナル・フラッグ) 私たちがよく目にする、 「白地に青い十字」だけのシンプルな旗 です。一般市民が家やボートに掲げたり、スポーツの応援で使ったりするのはすべてこの旗です。
- 政府旗(ステート・フラッグ) 十字が交差するど真ん中に、フィンランドの国章である 「赤い四角形に金のライオン」 が描かれている旗です。これは国会議事堂や政府機関、大使館などのみが使用できる公式な旗です。(※このライオンが、東の脅威=ロシアを象徴する三日月刀を踏みつけているデザインになっています)。
- 軍旗(ウォー・フラッグ) 政府旗と同じく中央にライオンの国章がありますが、旗の右側(風になびく方)が四角形ではなく、 「ツバメの尾(燕尾)」のように3つのギザギザの尖った形 に切り抜かれています。これはフィンランド軍(国防軍)のみが使用する非常に厳格な旗です。
4. 知っておきたい豆知識(トリビアと厳格なルール)
- 夏至祭(ユハンヌス)の特別な「徹夜ルール」 フィンランドでは国旗を掲げる日(フラッグ・デー)がカレンダーで細かく決まっています。通常のルールでは「朝8時に掲揚し、日没(または夜の9時)に降ろす」と定められています。 しかし、1年で最も昼が長い 「夏至祭(6月下旬)」の日だけは特別な法律の特例 があります。この日は白夜(夜になっても太陽が沈まない、または明るい)を祝うため、 「夏至祭イブの夕方18時に国旗を掲げ、翌日の夜21時まで一晩中ずっと降ろさずに掲げっぱなしにする」 ことが国を挙げて行われます。
- 絶対にやってはいけない処分方法 国旗を洗うことは許可されています(汚れた国旗を掲げるのは法律違反になるため)。しかし、古くなって色褪せたり破れたりした国旗を そのままゴミ箱に捨てることは法律で厳しく禁止 されています。 正しい処分方法は、「敬意を払って焼却する」か、「十字の形が完全に分からなくなるように(ただの青と白の布切れになるように)細かく切り刻んでから捨てる」のどちらかです。
- 青色の厳密な指定(2004年) 長い間「海の青」などと曖昧だった青色ですが、2004年に政府がカラーコード(Pantone 294 C)を厳格に規定しました。これは少し暗めで深みのある、非常に落ち着いた美しいネイビーブルーに近い色合いです。
以上のように、フィンランドの国旗は「北欧の美しい自然」を詩的に表現した究極のシンプルデザインでありながら、隣国ロシアへの抵抗と内戦という血塗られた歴史を乗り越えて選ばれた「平和への強い決意(白と青)」が込められた国旗なのです。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | フィンランドの国旗 |
|---|---|
| キーワード | フィンランド, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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