スイスの国旗について
スイスの国旗について、世界でも極めて珍しい「正方形」である理由、緻密に計算された十字の形、歴史的背景、そしてあの有名な「赤十字」との関係まで、詳しく解説します。
1. 世界で2ヶ国だけ!「正方形」の秘密とデザインの意味
スイス国旗の最大の特徴は、旗の形が長方形ではなく 「正方形(縦横比 1:1)」 であることです。世界に約200ある独立国の国旗の中で、正方形なのは スイスとバチカン市国の2ヶ国だけ です。
- 正方形である理由(軍旗の名残) 古くからヨーロッパの歩兵部隊(傭兵)が戦場で掲げていた軍旗(連隊旗)は、風向きに関わらず模様が綺麗に見えるよう、正方形で作られるのが一般的でした。ヨーロッパ最強の傭兵として名を馳せたスイス人は、中世から使っていた正方形の軍旗をそのまま近代国家の国旗へと引き継いだため、この形になりました。
- 白と赤の意味
- 白:「キリスト教(平和と信仰)」「純潔」を表します。
- 赤:「キリストの血」「国家を守るための犠牲と防衛」、そして「自由」や「名誉」を表しています。
2. 「スイス十字」の異常に細かい数学的ルール
中央に描かれている白い十字は、単なる「プラスマーク(+)」ではありません。1889年の連邦議会において、この十字の寸法は法律で極めて厳密に定められました。
- 「腕の長さは、幅より6分の1だけ長い」 十字を構成する4つの腕(上下左右に伸びている部分)はすべて同じサイズですが、 「腕の長さは、その幅(太さ)よりも『6分の1』だけ長くしなければならない」 と規定されています。 正方形の旗のど真ん中に、この絶妙なバランスの十字が配置されることで、視覚的に最も美しく、安定して見えるように計算されているのです。(※ただし、十字全体の大きさが旗の面積に対してどれくらいの割合になるべきかは、実は長年明確な規定がなく、メーカーによって微妙な違いがありました)。
3. スイス国旗の歴史と由来
スイスの国旗は、現在の「スイス連邦」が形成される過程の歴史そのものです。
① 名前の由来「シュヴィーツ州」の旗(13世紀) スイス建国の中心となった原初3州のひとつに 「シュヴィーツ州(Schwyz)」 という州があります(スイスという国名もここから来ています)。この州は古くから「真っ赤な背景の右上隅に、小さな白い十字架」を描いた旗を使っていました。これが現在の国旗のルーツです。
② 味方を見分けるための「白十字」(1339年) 1339年の「ラウペンの戦い」において、ハプスブルク家(オーストリア)の軍勢と戦ったスイスの同盟軍は、バラバラの州の集まりだったため、戦場で味方同士を区別する目印が必要でした。そこで、兵士たちの鎖帷子(くさりかたびら)や服に 「白い十字の布」 を縫い付けたのです。これが「白十字=スイス人」というシンボルとして定着しました。
③ ナポレオンによる変更と復活(19世紀) 1798年、ナポレオンによってスイスが征服され「ヘルヴェティア共和国」が作られると、フランスの真似をして「緑・赤・黄」の縦三色旗が強制的に国旗にされました。しかしスイス人はこれを激しく嫌い、ナポレオンが没落して独立を回復すると、すぐに伝統的な「赤地に白十字」の旗を復活させ、1848年の連邦憲法で正式な国旗として制定しました。
4. 有名な「赤十字」マークとの深い関係
病院や救急箱などで世界中でおなじみの 「赤十字」のマークは、スイスの国旗の『配色を完全に逆(白地に赤十字)』にしたもの です。これには明確な理由があります。
1859年、スイスのジュネーヴの青年実業家アンリ・デュナンは、戦争で放置された負傷兵の悲惨な姿に衝撃を受け、「敵味方に関係なく負傷者を救護する国際的な組織」の設立を提唱しました。これが「国際赤十字」の始まりです。 1864年のジュネーヴ条約において、戦場で攻撃してはいけない「中立で神聖な救護班の目印」を決める際、 創設者アンリ・デュナンへの敬意と、永世中立国であるスイスの「中立精神」にあやかり、スイス国旗の赤と白を反転させたデザインが世界共通のマークとして採用された のです。 (※赤十字マークはジュネーヴ条約によって厳重に保護されており、日本の法律でも、病院や薬局、一般企業が赤十字マークを使うことは禁止されています)。
5. 知っておきたい豆知識(トリビア)
- 実は「長方形」のスイス国旗もある 「正方形なのは2ヶ国だけ」と説明しましたが、例外があります。海に面していない内陸国のスイスですが、実はライン川などの国際河川を通って海に出る「商船(外航船)」を保有しています。 海事の国際ルールでは、船に掲げる国旗(商船旗)は「長方形」であることが求められるため、スイスは1941年に 「縦2:横3の長方形の国旗(海事用)」 を法律で特別に制定しました。また、オリンピックなどの国際大会でも、見栄えを揃えるために長方形の旗が使われることがあります。
- 国連での「正方形」を巡る戦い 永世中立国であるスイスは長らく国連に加盟していませんでしたが、2002年に国民投票を経てついに国連に加盟しました。 国連本部の前には全加盟国の国旗がズラリと並びますが、国連のルールでは「国旗はすべて縦2:横3の長方形で統一する」ことになっていました。しかしスイス政府は 「正方形でなければスイス国旗ではない!」 と強く主張。 最終的に国連側が折れて新たなルールが作られ、現在ニューヨークの国連本部前では、他の長方形の旗に混じって、スイスの正方形の国旗が誇らしく掲揚されています。
- ブランド化された国旗(スイスネス法) 「スイス製(Swiss Made)」は時計やチョコレートなどにおいて、高品質の絶対的なブランドです。そのため、スイス十字のマークを商品パッケージに勝手に使う業者が世界中で後を絶ちませんでした。 これを防ぐため、2017年に「スイスネス(Swissness)法」という厳しい法律が施行され、原材料の何パーセント以上がスイス産でなければ国旗マークを使ってはいけない、という非常に厳格な基準が設けられています。
以上のように、スイスの国旗は、ヨーロッパ最強と呼ばれた傭兵時代の誇り(正方形)と、平和と中立の精神(赤十字のルーツ)、そして幾何学的な精密さ(時計職人の国らしい計算)が見事に融合した、非常にアイデンティティの強い国旗なのです。
素材について
スイスの国旗について、世界でも極めて珍しい「正方形」である理由、緻密に計算された十字の形、歴史的背景、そしてあの有名な「赤十字」との関係まで、詳しく解説します。
1. 世界で2ヶ国だけ!「正方形」の秘密とデザインの意味
スイス国旗の最大の特徴は、旗の形が長方形ではなく 「正方形(縦横比 1:1)」 であることです。世界に約200ある独立国の国旗の中で、正方形なのは スイスとバチカン市国の2ヶ国だけ です。
- 正方形である理由(軍旗の名残) 古くからヨーロッパの歩兵部隊(傭兵)が戦場で掲げていた軍旗(連隊旗)は、風向きに関わらず模様が綺麗に見えるよう、正方形で作られるのが一般的でした。ヨーロッパ最強の傭兵として名を馳せたスイス人は、中世から使っていた正方形の軍旗をそのまま近代国家の国旗へと引き継いだため、この形になりました。
- 白と赤の意味
- 白:「キリスト教(平和と信仰)」「純潔」を表します。
- 赤:「キリストの血」「国家を守るための犠牲と防衛」、そして「自由」や「名誉」を表しています。
2. 「スイス十字」の異常に細かい数学的ルール
中央に描かれている白い十字は、単なる「プラスマーク(+)」ではありません。1889年の連邦議会において、この十字の寸法は法律で極めて厳密に定められました。
- 「腕の長さは、幅より6分の1だけ長い」 十字を構成する4つの腕(上下左右に伸びている部分)はすべて同じサイズですが、 「腕の長さは、その幅(太さ)よりも『6分の1』だけ長くしなければならない」 と規定されています。 正方形の旗のど真ん中に、この絶妙なバランスの十字が配置されることで、視覚的に最も美しく、安定して見えるように計算されているのです。(※ただし、十字全体の大きさが旗の面積に対してどれくらいの割合になるべきかは、実は長年明確な規定がなく、メーカーによって微妙な違いがありました)。
3. スイス国旗の歴史と由来
スイスの国旗は、現在の「スイス連邦」が形成される過程の歴史そのものです。
① 名前の由来「シュヴィーツ州」の旗(13世紀) スイス建国の中心となった原初3州のひとつに 「シュヴィーツ州(Schwyz)」 という州があります(スイスという国名もここから来ています)。この州は古くから「真っ赤な背景の右上隅に、小さな白い十字架」を描いた旗を使っていました。これが現在の国旗のルーツです。
② 味方を見分けるための「白十字」(1339年) 1339年の「ラウペンの戦い」において、ハプスブルク家(オーストリア)の軍勢と戦ったスイスの同盟軍は、バラバラの州の集まりだったため、戦場で味方同士を区別する目印が必要でした。そこで、兵士たちの鎖帷子(くさりかたびら)や服に 「白い十字の布」 を縫い付けたのです。これが「白十字=スイス人」というシンボルとして定着しました。
③ ナポレオンによる変更と復活(19世紀) 1798年、ナポレオンによってスイスが征服され「ヘルヴェティア共和国」が作られると、フランスの真似をして「緑・赤・黄」の縦三色旗が強制的に国旗にされました。しかしスイス人はこれを激しく嫌い、ナポレオンが没落して独立を回復すると、すぐに伝統的な「赤地に白十字」の旗を復活させ、1848年の連邦憲法で正式な国旗として制定しました。
4. 有名な「赤十字」マークとの深い関係
病院や救急箱などで世界中でおなじみの 「赤十字」のマークは、スイスの国旗の『配色を完全に逆(白地に赤十字)』にしたもの です。これには明確な理由があります。
1859年、スイスのジュネーヴの青年実業家アンリ・デュナンは、戦争で放置された負傷兵の悲惨な姿に衝撃を受け、「敵味方に関係なく負傷者を救護する国際的な組織」の設立を提唱しました。これが「国際赤十字」の始まりです。 1864年のジュネーヴ条約において、戦場で攻撃してはいけない「中立で神聖な救護班の目印」を決める際、 創設者アンリ・デュナンへの敬意と、永世中立国であるスイスの「中立精神」にあやかり、スイス国旗の赤と白を反転させたデザインが世界共通のマークとして採用された のです。 (※赤十字マークはジュネーヴ条約によって厳重に保護されており、日本の法律でも、病院や薬局、一般企業が赤十字マークを使うことは禁止されています)。
5. 知っておきたい豆知識(トリビア)
- 実は「長方形」のスイス国旗もある 「正方形なのは2ヶ国だけ」と説明しましたが、例外があります。海に面していない内陸国のスイスですが、実はライン川などの国際河川を通って海に出る「商船(外航船)」を保有しています。 海事の国際ルールでは、船に掲げる国旗(商船旗)は「長方形」であることが求められるため、スイスは1941年に 「縦2:横3の長方形の国旗(海事用)」 を法律で特別に制定しました。また、オリンピックなどの国際大会でも、見栄えを揃えるために長方形の旗が使われることがあります。
- 国連での「正方形」を巡る戦い 永世中立国であるスイスは長らく国連に加盟していませんでしたが、2002年に国民投票を経てついに国連に加盟しました。 国連本部の前には全加盟国の国旗がズラリと並びますが、国連のルールでは「国旗はすべて縦2:横3の長方形で統一する」ことになっていました。しかしスイス政府は 「正方形でなければスイス国旗ではない!」 と強く主張。 最終的に国連側が折れて新たなルールが作られ、現在ニューヨークの国連本部前では、他の長方形の旗に混じって、スイスの正方形の国旗が誇らしく掲揚されています。
- ブランド化された国旗(スイスネス法) 「スイス製(Swiss Made)」は時計やチョコレートなどにおいて、高品質の絶対的なブランドです。そのため、スイス十字のマークを商品パッケージに勝手に使う業者が世界中で後を絶ちませんでした。 これを防ぐため、2017年に「スイスネス(Swissness)法」という厳しい法律が施行され、原材料の何パーセント以上がスイス産でなければ国旗マークを使ってはいけない、という非常に厳格な基準が設けられています。
以上のように、スイスの国旗は、ヨーロッパ最強と呼ばれた傭兵時代の誇り(正方形)と、平和と中立の精神(赤十字のルーツ)、そして幾何学的な精密さ(時計職人の国らしい計算)が見事に融合した、非常にアイデンティティの強い国旗なのです。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | スイスの国旗 |
|---|---|
| キーワード | スイス, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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