イギリスの国旗について
イギリスの国旗、通称「ユニオンジャック(Union Jack)」または「ユニオンフラッグ(Union Flag)」について、その複雑なデザインの意味、歴史的背景、そして意外と知られていない厳格なルールなどを詳しく解説します。世界中で最も認知度の高い国旗の一つですが、実は「3つの国の国旗を合体させたデザイン」であり、非常に緻密な計算のうえに成り立っています。
1. デザインと形の意味:3つの十字架の融合
イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。その名の通り、複数の国が連合してできているため、国旗も各国の守護聖人を象徴する「十字架(クロス)」を重ね合わせたデザインになっています。
- ① イングランドの国旗(聖ジョージ・クロス) 「白地に赤い十字」。中央を垂直・水平に走る太い赤の十字架です。
- ② スコットランドの国旗(聖アンドリュー・クロス) 「青地に白い斜め十字」。背景の青色と、斜めに交差する白い十字架です。
- ③ アイルランドの国旗(聖パトリック・クロス) 「白地に赤い斜め十字」。細い赤の斜め十字架です。(※現在はアイルランド共和国が独立したため、イギリスに残る「北アイルランド」を象徴するものとして扱われています)
この3つを重ね合わせることで、現在のユニオンジャックが完成しています。
2. ユニオンジャックの歴史と由来
現在のデザインになるまでには、長い歴史の変遷がありました。
① 初代ユニオンフラッグの誕生(1606年) 1603年、イングランド女王エリザベス1世が後継者を残さずに崩御し、スコットランド王ジェームズ6世がイングランド王ジェームズ1世として即位しました(同君連合)。 これを機に、1606年に イングランドの「赤十字」とスコットランドの「白斜め十字」を重ね合わせた最初の国旗 が作られました。この時点では、アイルランドの赤い斜め十字は入っていません。
② 現在のデザインの完成(1801年) 1801年、グレートブリテン王国とアイルランド王国が正式に合併し、「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」が成立しました。 この時、既存の国旗に アイルランドの「赤い斜め十字(聖パトリック・クロス)」が追加 され、現在私たちがよく知るユニオンジャックのデザインが完成しました。
③ なぜ「ウェールズ」は入っていないのか? イギリスを構成するもう一つの国「ウェールズ」の国旗(白と緑の背景に赤い竜)の要素は、ユニオンジャックに一切含まれていません。 その理由は、初代国旗が制定された1606年の時点で、 ウェールズはすでにイングランドに完全に併合されており、「イングランドの一部」とみなされていたから です。近年、ウェールズの要素(赤い竜など)を国旗に追加すべきだという議論が起こることもあります。
3. デザインに隠された「非対称(アシンメトリー)」の秘密
一見すると左右上下対称に見えるユニオンジャックですが、 実は非対称(アシンメトリー) です。斜めの赤い線(アイルランド)と白い線(スコットランド)の太さや位置に注目すると、赤い線が中心から少しズレていることがわかります。
- カウンターチェンジ(互い違い)の技法 スコットランドの「白」とアイルランドの「赤」の斜め十字を重ねる際、単純に上に乗せてしまうと、下になった国が「格下」のようになってしまいます。 それを避けるため、赤い線を白い線の中心からずらし、 「旗竿側(左側)の斜め上半分ではスコットランドの白が上(太い)」「その反対側ではアイルランドの赤が上」 に見えるように、風車状に配置しました。
- それでもスコットランドが「先輩」 平等に見えるよう工夫されていますが、アイルランドの赤い線の外側に引かれている白い縁取り(フチ)の部分を含めると、全体的にスコットランドの白い面積のほうが広く取られています。これは「スコットランドのほうが先に連合入りした先輩だから」という理由に基づいています。
4. 知っておきたい豆知識(トリビア)
- 上下逆さまに掲揚すると「SOS」のサイン 非対称であるため、ユニオンジャックには厳密な「上下」が存在します。正しい向きは 「旗竿側(左側)の一番上の白い斜め線が、赤い斜め線よりも上にきている(太い白が上、細い白が下)」 状態です。 これを誤って上下逆さまに掲揚してしまうと、国家への侮辱ととられるだけでなく、海事の国際的な慣習では 「SOS(重大な危機・降伏)」のサイン として認識されてしまうため、非常に注意が必要です。
- 「ユニオンジャック」という名前の由来 「ユニオンフラッグ」が正式名称とされることが多いですが、「ジャック(Jack)」の由来には諸説あります。 1つは、船の舳先(へさき)に掲げる国籍旗(船首旗)のことを「ジャック」と呼ぶため、海軍国家イギリスの象徴として定着したという説。もう1つは、初代国旗を制定したジェームズ1世の名前(ラテン語で「ジャコブス(Jacobus)」)に由来するという説です。
- 他国の国旗にも組み込まれている かつての大英帝国の影響力の名残で、現在でもオーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ツバルなどの国旗の左上にユニオンジャックが描かれています(カントン旗と呼びます)。また、アメリカ合衆国のハワイ州の州旗にも、イギリスとの歴史的な友好関係からユニオンジャックが含まれています(アメリカの州旗で唯一)。
以上のように、イギリスのユニオンジャックは、単なる美しい模様ではなく、複数の国家の歴史的な融合と、各国のプライドを損なわないための極めて高度なグラフィックデザインの結晶と言えます。
素材について
イギリスの国旗、通称「ユニオンジャック(Union Jack)」または「ユニオンフラッグ(Union Flag)」について、その複雑なデザインの意味、歴史的背景、そして意外と知られていない厳格なルールなどを詳しく解説します。世界中で最も認知度の高い国旗の一つですが、実は「3つの国の国旗を合体させたデザイン」であり、非常に緻密な計算のうえに成り立っています。
1. デザインと形の意味:3つの十字架の融合
イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。その名の通り、複数の国が連合してできているため、国旗も各国の守護聖人を象徴する「十字架(クロス)」を重ね合わせたデザインになっています。
- ① イングランドの国旗(聖ジョージ・クロス) 「白地に赤い十字」。中央を垂直・水平に走る太い赤の十字架です。
- ② スコットランドの国旗(聖アンドリュー・クロス) 「青地に白い斜め十字」。背景の青色と、斜めに交差する白い十字架です。
- ③ アイルランドの国旗(聖パトリック・クロス) 「白地に赤い斜め十字」。細い赤の斜め十字架です。(※現在はアイルランド共和国が独立したため、イギリスに残る「北アイルランド」を象徴するものとして扱われています)
この3つを重ね合わせることで、現在のユニオンジャックが完成しています。
2. ユニオンジャックの歴史と由来
現在のデザインになるまでには、長い歴史の変遷がありました。
① 初代ユニオンフラッグの誕生(1606年) 1603年、イングランド女王エリザベス1世が後継者を残さずに崩御し、スコットランド王ジェームズ6世がイングランド王ジェームズ1世として即位しました(同君連合)。 これを機に、1606年に イングランドの「赤十字」とスコットランドの「白斜め十字」を重ね合わせた最初の国旗 が作られました。この時点では、アイルランドの赤い斜め十字は入っていません。
② 現在のデザインの完成(1801年) 1801年、グレートブリテン王国とアイルランド王国が正式に合併し、「グレートブリテン及びアイルランド連合王国」が成立しました。 この時、既存の国旗に アイルランドの「赤い斜め十字(聖パトリック・クロス)」が追加 され、現在私たちがよく知るユニオンジャックのデザインが完成しました。
③ なぜ「ウェールズ」は入っていないのか? イギリスを構成するもう一つの国「ウェールズ」の国旗(白と緑の背景に赤い竜)の要素は、ユニオンジャックに一切含まれていません。 その理由は、初代国旗が制定された1606年の時点で、 ウェールズはすでにイングランドに完全に併合されており、「イングランドの一部」とみなされていたから です。近年、ウェールズの要素(赤い竜など)を国旗に追加すべきだという議論が起こることもあります。
3. デザインに隠された「非対称(アシンメトリー)」の秘密
一見すると左右上下対称に見えるユニオンジャックですが、 実は非対称(アシンメトリー) です。斜めの赤い線(アイルランド)と白い線(スコットランド)の太さや位置に注目すると、赤い線が中心から少しズレていることがわかります。
- カウンターチェンジ(互い違い)の技法 スコットランドの「白」とアイルランドの「赤」の斜め十字を重ねる際、単純に上に乗せてしまうと、下になった国が「格下」のようになってしまいます。 それを避けるため、赤い線を白い線の中心からずらし、 「旗竿側(左側)の斜め上半分ではスコットランドの白が上(太い)」「その反対側ではアイルランドの赤が上」 に見えるように、風車状に配置しました。
- それでもスコットランドが「先輩」 平等に見えるよう工夫されていますが、アイルランドの赤い線の外側に引かれている白い縁取り(フチ)の部分を含めると、全体的にスコットランドの白い面積のほうが広く取られています。これは「スコットランドのほうが先に連合入りした先輩だから」という理由に基づいています。
4. 知っておきたい豆知識(トリビア)
- 上下逆さまに掲揚すると「SOS」のサイン 非対称であるため、ユニオンジャックには厳密な「上下」が存在します。正しい向きは 「旗竿側(左側)の一番上の白い斜め線が、赤い斜め線よりも上にきている(太い白が上、細い白が下)」 状態です。 これを誤って上下逆さまに掲揚してしまうと、国家への侮辱ととられるだけでなく、海事の国際的な慣習では 「SOS(重大な危機・降伏)」のサイン として認識されてしまうため、非常に注意が必要です。
- 「ユニオンジャック」という名前の由来 「ユニオンフラッグ」が正式名称とされることが多いですが、「ジャック(Jack)」の由来には諸説あります。 1つは、船の舳先(へさき)に掲げる国籍旗(船首旗)のことを「ジャック」と呼ぶため、海軍国家イギリスの象徴として定着したという説。もう1つは、初代国旗を制定したジェームズ1世の名前(ラテン語で「ジャコブス(Jacobus)」)に由来するという説です。
- 他国の国旗にも組み込まれている かつての大英帝国の影響力の名残で、現在でもオーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ツバルなどの国旗の左上にユニオンジャックが描かれています(カントン旗と呼びます)。また、アメリカ合衆国のハワイ州の州旗にも、イギリスとの歴史的な友好関係からユニオンジャックが含まれています(アメリカの州旗で唯一)。
以上のように、イギリスのユニオンジャックは、単なる美しい模様ではなく、複数の国家の歴史的な融合と、各国のプライドを損なわないための極めて高度なグラフィックデザインの結晶と言えます。
無料ダウンロード
詳細データ・リンク
| 素材名 | イギリスの国旗 |
|---|---|
| キーワード | イギリス, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
| 関連リンク | 参考リンク |