四族同心旗について
「四族同心旗(しぞくどうしんき)」、または「台湾同心旗(たいわんどうしんき)」について解説します。
この旗は台湾の完全な独立と「台湾共和国」の建国を目指す台湾独立運動の中で、「現在の青天白日満地紅旗に代わる、新しい台湾の国旗(新国旗)」の最有力候補として1990年代に生み出された重要な旗です。
しかし、そのデザインが「日本の天皇家の家臣を意味しているのではないか?」という猛烈な批判と嘲笑を浴びることになり、現在ではあまり使われなくなったという、非常に数奇でドラマチックな運命を辿った旗でもあります。
1. デザインと形の意味:4つの民族の団結
白地に緑の縦縞模様(左右)があり、中央に 「4つの赤いハート」を十字に組み合わせたような花のマーク が描かれています。
- 中央の4つのハート(四族同心)
この旗の最大の特徴であり、名前の由来です。台湾に住む「4つの主要な民族(四大族群)」を象徴しています。
- 原住民 (古くから台湾に住む先住民族)
- 河洛人 / ホーロー人 (明・清の時代に中国の福建省南部から渡ってきた人々)
- 客家人 / ハッカ人 (主に広東省などから渡ってきた人々)
- 外省人 (第二次世界大戦後、国民党と共に中国大陸から渡ってきた人々) 歴史的に対立することもあったこれら4つの民族が、 「ハートの尖った部分をすべて中心(台湾)に向け、心を一つにして(同心)協力し合う」 という、民族の和解と団結の強烈なメッセージが込められています。
- 左右の「緑色の帯」 台湾の 「美しさ、豊かさ、そして社会の安定」 と、豊かな自然環境を象徴しています。
- 白い背景 台湾人民の 「純潔さ」 や平和への願いを象徴しています。
2. 歴史と由来:1994年の「新国旗」決定戦
1990年代、台湾の民主化が進む中で「外来政権である国民党の旗(青天白日満地紅旗)を捨て、台湾人自身の新しい国旗を作ろう」という新国旗運動が熱を帯びました。
① 劉瑞義牧師によるデザイン このデザインを考案したのは、カナダなど海外で活動していた台湾独立派の劉瑞義(りゅう ずいぎ)牧師です。彼は台湾の分断された社会を憂い、和解のシンボルとしてこの「同心」の図案を作りました。
② 第二回台湾人民制憲会議での採択(1994年) 1994年6月24日〜25日、台湾の独立と新憲法制定を目指す民間集会「第2回台湾人民制憲会議」が開催されました。この会議の目玉の一つが「台湾共和国の新国旗を決める投票」でした。 最終決選投票において、もう一つの有力候補であった「台湾野百合旗(民主化運動の象徴であるユリを描いた旗)」を破り、この「四族同心旗」が見事新国旗として選出されました。
3. なぜ消えた? 猛烈な批判を浴びた「八菊旗」という不名誉な別名
独立派の希望を背負って誕生した四族同心旗でしたが、発表直後から、親中派・国民党支持者だけでなく、一部の独立派からも猛烈な批判を浴びることになります。
① 「日本の家臣になりたいのか!」という批判(八菊旗) 中央の4つのハートは、根元が重なり合うことで 「8枚の花びらを持つ花」 のように見えます。 これを見た反対派は、 「日本の皇室の紋章である『十六八重表菊(16枚の花びらのキク)』にそっくりだ」 と指摘しました。歴史上、日本の天皇が16枚の花びらを使うのに対して天皇に仕える家臣(武将など)は「8枚の花びらの菊」を下賜されて使っていました。 そのため、反対派はこの旗を「八菊旗(はちぎくき)」と名付け、「台湾独立派は、口では独立と言いながら、本心では日本の皇民(家臣)に戻って日本に隷属したいだけだ!」と激しく嘲笑・攻撃したのです。
② カナダ国旗の「パクリ」問題 もう一つの批判は、左右に縦のラインを引いた構図(カナディアン・ペール)が、 「カナダの国旗(メイプルリーフ旗)の丸パクリではないか」 というものでした。 デザインした劉牧師がカナダ国籍を持つ(またはカナダ在住の)台湾人であったため、「故郷を思う気持ちはわかるが、他国の国旗の模倣性が高すぎてオリジナリティがない。国連で掲げたら世界の笑いものになる」と、味方であるはずの台湾独立派の内部からもデザインの不備を指摘する声が上がりました。
4. 四族同心旗のその後(現代の使われ方)
こうした「八菊旗」という不名誉なレッテル貼りや、カナダ国旗に似すぎているというデザイン上の弱点から、四族同心旗は次第に求心力を失っていきました。
その結果、2001年頃になると、同じカナダ国旗のレイアウトを踏襲しつつも、中央の「誤解を招く菊のようなマーク」を捨てて、誰が見ても台湾だとわかる 「緑色の台湾の地図」を中央にと配置した『世界台湾人大会の旗(台湾旗)』 が登場します。
現在、台湾の選挙の決起集会やデモ活動などでこの「四族同心旗」を目にする機会はほとんどありません。しかし、台湾の民主化運動の歴史において「台湾に住むすべての民族の和解と団結(四族同心)」という非常に崇高で平和的な理念を視覚化しようとした、歴史的に極めて意義深い旗として記録されています。
素材について
「四族同心旗(しぞくどうしんき)」、または「台湾同心旗(たいわんどうしんき)」について解説します。
この旗は台湾の完全な独立と「台湾共和国」の建国を目指す台湾独立運動の中で、「現在の青天白日満地紅旗に代わる、新しい台湾の国旗(新国旗)」の最有力候補として1990年代に生み出された重要な旗です。
しかし、そのデザインが「日本の天皇家の家臣を意味しているのではないか?」という猛烈な批判と嘲笑を浴びることになり、現在ではあまり使われなくなったという、非常に数奇でドラマチックな運命を辿った旗でもあります。
1. デザインと形の意味:4つの民族の団結
白地に緑の縦縞模様(左右)があり、中央に 「4つの赤いハート」を十字に組み合わせたような花のマーク が描かれています。
- 中央の4つのハート(四族同心)
この旗の最大の特徴であり、名前の由来です。台湾に住む「4つの主要な民族(四大族群)」を象徴しています。
- 原住民 (古くから台湾に住む先住民族)
- 河洛人 / ホーロー人 (明・清の時代に中国の福建省南部から渡ってきた人々)
- 客家人 / ハッカ人 (主に広東省などから渡ってきた人々)
- 外省人 (第二次世界大戦後、国民党と共に中国大陸から渡ってきた人々) 歴史的に対立することもあったこれら4つの民族が、 「ハートの尖った部分をすべて中心(台湾)に向け、心を一つにして(同心)協力し合う」 という、民族の和解と団結の強烈なメッセージが込められています。
- 左右の「緑色の帯」 台湾の 「美しさ、豊かさ、そして社会の安定」 と、豊かな自然環境を象徴しています。
- 白い背景 台湾人民の 「純潔さ」 や平和への願いを象徴しています。
2. 歴史と由来:1994年の「新国旗」決定戦
1990年代、台湾の民主化が進む中で「外来政権である国民党の旗(青天白日満地紅旗)を捨て、台湾人自身の新しい国旗を作ろう」という新国旗運動が熱を帯びました。
① 劉瑞義牧師によるデザイン このデザインを考案したのは、カナダなど海外で活動していた台湾独立派の劉瑞義(りゅう ずいぎ)牧師です。彼は台湾の分断された社会を憂い、和解のシンボルとしてこの「同心」の図案を作りました。
② 第二回台湾人民制憲会議での採択(1994年) 1994年6月24日〜25日、台湾の独立と新憲法制定を目指す民間集会「第2回台湾人民制憲会議」が開催されました。この会議の目玉の一つが「台湾共和国の新国旗を決める投票」でした。 最終決選投票において、もう一つの有力候補であった「台湾野百合旗(民主化運動の象徴であるユリを描いた旗)」を破り、この「四族同心旗」が見事新国旗として選出されました。
3. なぜ消えた? 猛烈な批判を浴びた「八菊旗」という不名誉な別名
独立派の希望を背負って誕生した四族同心旗でしたが、発表直後から、親中派・国民党支持者だけでなく、一部の独立派からも猛烈な批判を浴びることになります。
① 「日本の家臣になりたいのか!」という批判(八菊旗) 中央の4つのハートは、根元が重なり合うことで 「8枚の花びらを持つ花」 のように見えます。 これを見た反対派は、 「日本の皇室の紋章である『十六八重表菊(16枚の花びらのキク)』にそっくりだ」 と指摘しました。歴史上、日本の天皇が16枚の花びらを使うのに対して天皇に仕える家臣(武将など)は「8枚の花びらの菊」を下賜されて使っていました。 そのため、反対派はこの旗を「八菊旗(はちぎくき)」と名付け、「台湾独立派は、口では独立と言いながら、本心では日本の皇民(家臣)に戻って日本に隷属したいだけだ!」と激しく嘲笑・攻撃したのです。
② カナダ国旗の「パクリ」問題 もう一つの批判は、左右に縦のラインを引いた構図(カナディアン・ペール)が、 「カナダの国旗(メイプルリーフ旗)の丸パクリではないか」 というものでした。 デザインした劉牧師がカナダ国籍を持つ(またはカナダ在住の)台湾人であったため、「故郷を思う気持ちはわかるが、他国の国旗の模倣性が高すぎてオリジナリティがない。国連で掲げたら世界の笑いものになる」と、味方であるはずの台湾独立派の内部からもデザインの不備を指摘する声が上がりました。
4. 四族同心旗のその後(現代の使われ方)
こうした「八菊旗」という不名誉なレッテル貼りや、カナダ国旗に似すぎているというデザイン上の弱点から、四族同心旗は次第に求心力を失っていきました。
その結果、2001年頃になると、同じカナダ国旗のレイアウトを踏襲しつつも、中央の「誤解を招く菊のようなマーク」を捨てて、誰が見ても台湾だとわかる 「緑色の台湾の地図」を中央にと配置した『世界台湾人大会の旗(台湾旗)』 が登場します。
現在、台湾の選挙の決起集会やデモ活動などでこの「四族同心旗」を目にする機会はほとんどありません。しかし、台湾の民主化運動の歴史において「台湾に住むすべての民族の和解と団結(四族同心)」という非常に崇高で平和的な理念を視覚化しようとした、歴史的に極めて意義深い旗として記録されています。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | 四族同心旗 |
|---|---|
| キーワード | 台湾, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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