ミャンマーの国旗について
ミャンマーの国旗について、その色の意味、「ある日突然、命令によって変更された」という異例の誕生エピソード、そしてかつての日本との意外な歴史的繋がりから、現代の複雑な政治事情まで、とにかく詳しく解説します。現在のミャンマー国旗は2010年に制定された、世界的に見ても比較的新しい国旗です。
1. デザインと形の意味:3つの色と大きな星
上から「黄・緑・赤」の横三色旗で、中央に「大きな白い五芒星(星マーク)」が描かれています。
ミャンマー(旧ビルマ)は、ビルマ族をはじめとする130以上の多数の少数民族を抱える多民族国家です。そのため、この国旗には「国のまとまり」を強調する強いメッセージが込められています。
- 黄色(上部) 多民族国家としての 「国民の団結(Solidarity)」 を意味しています。
- 緑色(中央) 「平和と平穏」 、そしてミャンマーの 「豊かな自然環境(緑の大地)」 を意味しています。
- 赤色(下部) 「勇気と決断力」 を意味しています。
- 中央の「大きな白い星」 国がバラバラにならないための 「連邦の永続的な結束(ひとつの国家としてのまとまり)」 を象徴しています。
2. ミャンマー国旗の歴史:何度も変わるデザイン
ミャンマーは、政変(クーデターや体制変更)が起きるたびに国旗のデザインがガラリと変わる歴史を持っています。
① 初代国旗(1948年〜1974年) イギリスから「ビルマ連邦」として独立した際の国旗です。赤地で、左上に青い四角があり、その中に「1つの大きな星と、それを囲む5つの小さな星」が描かれていました。(5つの小さな星は主要な民族を表していました)。
② 社会主義時代の国旗(1974年〜2010年) ネ・ウィン将軍による軍事政権下で「ビルマ連邦社会主義共和国」となった際の国旗です。ベースは初代と同じ「赤地に左上が青」ですが、左上の星が 「歯車(労働者)」と「稲穂(農民)」 に変わり、その周りを14個の星(14の行政区分)が囲むという、非常に社会主義国らしいデザインでした。 (※1989年に国名がビルマからミャンマーに変更されましたが、国旗はしばらくこのままでした)。
3. 「ある日突然」の国旗変更事件(2010年)
現在の黄・緑・赤の新国旗が誕生した際のエピソードは、世界中のニュースを驚かせました。
当時の軍事政権は、2008年に新憲法を制定し、その中で「新しい国旗のデザイン」を定めていました。しかし、いつから新しい国旗に切り替わるのかは国民には知らされていませんでした。
そして2010年10月21日、総選挙のわずか2週間前、政府は突然テレビやラジオで 「今日の午後3時(または午後3時33分)をもって、全国一斉に古い国旗を降ろし、新しい国旗を掲揚せよ」と命令を下した のです。 役所や学校は大慌てで新しい旗を掲げ、降ろされた古い国旗は 「すべて燃やして焼却処分するように」 という厳命が下されました。この強権的で唐突な変更は、当時の軍事政権の絶対的な力を象徴する出来事でした。
4. デザインのルーツは「日本軍占領時代」?
この黄・緑・赤の三色旗、実は2010年に全くのゼロから作られたデザインではありません。ルーツは第二次世界大戦中に遡ります。
1943年、日本軍の支援(占領下)によって、イギリスから独立する形で 「ビルマ国」 が建国されました。この時にビルマ国の国旗として採用されたのが、 「黄・緑・赤の三色旗の中央に、ビルマの伝統的なシンボルである『クジャク』を描いた旗」 でした。 この三色旗は、アウンサンスーチー氏の父であり、ミャンマー建国の父であるアウンサン将軍らが率いた独立運動のシンボルカラーでもありました。
2010年に軍事政権がこの配色を復活させ、中央のクジャクを「白い星」に変えたデザインを採用した理由は公式には語られていませんが、「かつての独立闘争の精神を引き継ぐ」という大義名分があったとされています。
5. 知っておきたい豆知識(トリビア・現在の複雑な事情)
- アフリカの国旗やリトアニア国旗との激似問題 「黄・緑・赤」の組み合わせは「汎アフリカ色」と呼ばれ、セネガルやカメルーンなどアフリカ諸国の国旗によく使われるため、一見するとアフリカの国旗のように見えます。 また、ヨーロッパの 「リトアニアの国旗(黄・緑・赤の横三色旗)」 と全く同じ配色であるため、中央の星がなければ見分けがつきません。
- 「国民民主連盟(NLD)」の党旗との関係 アウンサンスーチー氏が率いる民主派政党「国民民主連盟(NLD)」の党旗は、 真っ赤な背景に「白い星と、戦うクジャク」 が描かれています。これは前述の歴史的な独立運動のシンボルを色濃く受け継いだデザインです。
- クーデター後の「国旗」を巡る複雑な感情(現代のリアル) 2021年2月、ミャンマーで再び国軍によるクーデターが発生し、現在も深刻な紛争状態が続いています。 このため、現在の国旗(黄・緑・赤の星)は国際社会で公式に認められている国旗ではありますが、国内の民主派市民や抗議デモを行う人々の間では 「国軍が作った2008年憲法の象徴(軍事政権の旗)」 として複雑な感情を抱かれています。 そのため民主派のデモの現場などでは、あえて現在の国旗を使わず、 1948年の初代国旗(青と星) や、 NLDの党旗(赤地にクジャクと星) を「真の民主主義と連邦のシンボル」として掲げて戦う姿が頻繁に見られます。
以上のように、ミャンマーの国旗は、独立闘争の歴史的カラーを受け継ぎながらも、独裁政権による突然の変更というドラマを持ち、現在進行形で「国家のあり方」を巡る国民の複雑な想いが投影されている旗なのです。
素材について
ミャンマーの国旗について、その色の意味、「ある日突然、命令によって変更された」という異例の誕生エピソード、そしてかつての日本との意外な歴史的繋がりから、現代の複雑な政治事情まで、とにかく詳しく解説します。現在のミャンマー国旗は2010年に制定された、世界的に見ても比較的新しい国旗です。
1. デザインと形の意味:3つの色と大きな星
上から「黄・緑・赤」の横三色旗で、中央に「大きな白い五芒星(星マーク)」が描かれています。
ミャンマー(旧ビルマ)は、ビルマ族をはじめとする130以上の多数の少数民族を抱える多民族国家です。そのため、この国旗には「国のまとまり」を強調する強いメッセージが込められています。
- 黄色(上部) 多民族国家としての 「国民の団結(Solidarity)」 を意味しています。
- 緑色(中央) 「平和と平穏」 、そしてミャンマーの 「豊かな自然環境(緑の大地)」 を意味しています。
- 赤色(下部) 「勇気と決断力」 を意味しています。
- 中央の「大きな白い星」 国がバラバラにならないための 「連邦の永続的な結束(ひとつの国家としてのまとまり)」 を象徴しています。
2. ミャンマー国旗の歴史:何度も変わるデザイン
ミャンマーは、政変(クーデターや体制変更)が起きるたびに国旗のデザインがガラリと変わる歴史を持っています。
① 初代国旗(1948年〜1974年) イギリスから「ビルマ連邦」として独立した際の国旗です。赤地で、左上に青い四角があり、その中に「1つの大きな星と、それを囲む5つの小さな星」が描かれていました。(5つの小さな星は主要な民族を表していました)。
② 社会主義時代の国旗(1974年〜2010年) ネ・ウィン将軍による軍事政権下で「ビルマ連邦社会主義共和国」となった際の国旗です。ベースは初代と同じ「赤地に左上が青」ですが、左上の星が 「歯車(労働者)」と「稲穂(農民)」 に変わり、その周りを14個の星(14の行政区分)が囲むという、非常に社会主義国らしいデザインでした。 (※1989年に国名がビルマからミャンマーに変更されましたが、国旗はしばらくこのままでした)。
3. 「ある日突然」の国旗変更事件(2010年)
現在の黄・緑・赤の新国旗が誕生した際のエピソードは、世界中のニュースを驚かせました。
当時の軍事政権は、2008年に新憲法を制定し、その中で「新しい国旗のデザイン」を定めていました。しかし、いつから新しい国旗に切り替わるのかは国民には知らされていませんでした。
そして2010年10月21日、総選挙のわずか2週間前、政府は突然テレビやラジオで 「今日の午後3時(または午後3時33分)をもって、全国一斉に古い国旗を降ろし、新しい国旗を掲揚せよ」と命令を下した のです。 役所や学校は大慌てで新しい旗を掲げ、降ろされた古い国旗は 「すべて燃やして焼却処分するように」 という厳命が下されました。この強権的で唐突な変更は、当時の軍事政権の絶対的な力を象徴する出来事でした。
4. デザインのルーツは「日本軍占領時代」?
この黄・緑・赤の三色旗、実は2010年に全くのゼロから作られたデザインではありません。ルーツは第二次世界大戦中に遡ります。
1943年、日本軍の支援(占領下)によって、イギリスから独立する形で 「ビルマ国」 が建国されました。この時にビルマ国の国旗として採用されたのが、 「黄・緑・赤の三色旗の中央に、ビルマの伝統的なシンボルである『クジャク』を描いた旗」 でした。 この三色旗は、アウンサンスーチー氏の父であり、ミャンマー建国の父であるアウンサン将軍らが率いた独立運動のシンボルカラーでもありました。
2010年に軍事政権がこの配色を復活させ、中央のクジャクを「白い星」に変えたデザインを採用した理由は公式には語られていませんが、「かつての独立闘争の精神を引き継ぐ」という大義名分があったとされています。
5. 知っておきたい豆知識(トリビア・現在の複雑な事情)
- アフリカの国旗やリトアニア国旗との激似問題 「黄・緑・赤」の組み合わせは「汎アフリカ色」と呼ばれ、セネガルやカメルーンなどアフリカ諸国の国旗によく使われるため、一見するとアフリカの国旗のように見えます。 また、ヨーロッパの 「リトアニアの国旗(黄・緑・赤の横三色旗)」 と全く同じ配色であるため、中央の星がなければ見分けがつきません。
- 「国民民主連盟(NLD)」の党旗との関係 アウンサンスーチー氏が率いる民主派政党「国民民主連盟(NLD)」の党旗は、 真っ赤な背景に「白い星と、戦うクジャク」 が描かれています。これは前述の歴史的な独立運動のシンボルを色濃く受け継いだデザインです。
- クーデター後の「国旗」を巡る複雑な感情(現代のリアル) 2021年2月、ミャンマーで再び国軍によるクーデターが発生し、現在も深刻な紛争状態が続いています。 このため、現在の国旗(黄・緑・赤の星)は国際社会で公式に認められている国旗ではありますが、国内の民主派市民や抗議デモを行う人々の間では 「国軍が作った2008年憲法の象徴(軍事政権の旗)」 として複雑な感情を抱かれています。 そのため民主派のデモの現場などでは、あえて現在の国旗を使わず、 1948年の初代国旗(青と星) や、 NLDの党旗(赤地にクジャクと星) を「真の民主主義と連邦のシンボル」として掲げて戦う姿が頻繁に見られます。
以上のように、ミャンマーの国旗は、独立闘争の歴史的カラーを受け継ぎながらも、独裁政権による突然の変更というドラマを持ち、現在進行形で「国家のあり方」を巡る国民の複雑な想いが投影されている旗なのです。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | ミャンマーの国旗 |
|---|---|
| キーワード | ミャンマー, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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