サウジアラビアの国旗について
サウジアラビアの国旗は、世界にあるすべての国旗の中で「最も宗教的に神聖」であり、同時に「世界一取り扱いのルールが厳しい国旗」と言っても過言ではありません。イスラム教の根幹をなす言葉が刻まれているため、他の国旗には見られない驚くべきタブーや独自の製法が存在します。詳しく解説していきましょう。
1. デザインと「文字・剣」の意味
深い緑色の背景に、白いアラビア文字と一本の剣が描かれています。それぞれの要素が、イスラム教と国家の成り立ちを強く象徴しています。
- 緑色(背景) イスラム教における 「最も神聖な色(シンボルカラー)」 です。預言者ムハンマドが好んだ色とされ、砂漠の民にとって生命の象徴である「オアシス(水と植物)」や「天国」を表しています。
- 白いアラビア文字(シャハーダ) 国旗の中央に美しく流麗な「スルス体」という書体で書かれているのは、イスラム教の最も重要な信仰告白(シャハーダ)です。 「アッラーのほかに神はなし、ムハンマドはアッラーの使徒である」 この一文が刻まれているため、サウジアラビアの国旗は単なる国の布切れではなく、 「コーラン(聖典)と同等の神聖なもの」 として扱われます。
- 白い剣 文字の下に引かれた一本の真っ直ぐな剣は、 「正義の厳格な適用」 と、サウジアラビア王国を建国した初代国王(イブン・サウード)の 「軍事的な勝利」 を象徴しています。また、「信仰(上の文字)を正義の力(下の剣)で守り抜く」という意味も込められています。
2. 世界一厳しい! サウジアラビア国旗の「絶対ルール」
この国旗には、神聖な神の名(アッラー)が書かれているがゆえの、他国にはない厳格なルールが存在します。
① 「半旗」にしてはならない(絶対不可) 世界中の国々では、国家元首が亡くなったり大災害が起きたりした際、哀悼の意を示すために国旗をポールの中腹まで下げる「半旗」を行いますが、 サウジアラビアの国旗を半旗にすることは法律で固く禁じられています。 たとえサウジアラビアの国王が崩御した時であっても、絶対に下げられません。「神(アッラー)の言葉を低い位置に下げることは、神への冒涜にあたる」からです。(※同様の理由で、同じく神の言葉が書かれているイラクやアフガニスタンの旧国旗なども半旗が禁止されることがあります)。
② 服やボール、使い捨ての物に印刷してはならない 神聖な文字が書かれたこのデザインを、Tシャツやクッション、カーペットなどにプリントすることは 「尻に敷いたり、汗水で汚したりする可能性があるため」厳禁 です。
- サッカーボール事件(2002年):日韓ワールドカップの際、FIFA(国際サッカー連盟)が記念グッズとして「出場全カ国の国旗をプリントしたサッカーボール」を製造しようとしました。しかしサウジアラビア政府が 「神の御名を足で蹴るなど言語道断だ!」 と猛抗議し、サウジアラビアの国旗だけボールへのプリントが中止されるという事件がありました。
3. 表と裏が違う?「特殊な縫製ルール」
サウジアラビアの国旗は、一枚の布の裏表に印刷されているわけではありません。
アラビア語は「右から左」へ読みます。もし一枚の布の裏側に文字が透けて見えた場合、裏から見ると文字が「鏡文字(反転)」になってしまい、意味が読めなくなってしまいます。神の言葉が読めない状態になることは許されません。 そのため、公式なサウジアラビアの国旗は 「表用に正しく印刷された布」と「裏用に正しく印刷された布」の2枚を、背中合わせに縫い合わせて作られます。 これにより、風の向きに関わらず、左右どちらから見てもシャハーダが正しく「右から左」へ読めるようになっています。
さらに、下にある「剣」も、文字を読む方向(右から左)に合わせて、 常に剣の柄(持ち手)が右側、剣の先が左側を向くように デザインされています。
4. 国旗の歴史と由来:王国の建国とともに
サウジアラビアという国は「サウード家」という一族がアラビア半島を統一して作った国です。国旗もその歴史とともに変化しました。
① 剣のない緑の旗(18世紀〜) 18世紀、現在のサウジアラビアの源流となる「第一次サウード王国」が誕生した際、彼らは厳格なイスラム改革運動(ワッハーブ派)と結びついていました。この時からすでに、緑色の背景に白い文字(シャハーダ)を書いた旗を使っていました。この時はまだ「剣」はありませんでした。
② 剣の追加(1902年〜) 20世紀初頭、初代国王となるイブン・サウードがリヤドを奪還し、アラビア半島の統一戦争を始めました。この統一の過程で、軍事的な力と正義を示す「剣」が旗に追加されました。当初は剣が2本交差していたり、剣の形が三日月刀(大きく湾曲した剣)だったりと、デザインにばらつきがありました。
③ 現在のデザインの確立(1973年) 1932年に「サウジアラビア王国」が正式に建国された後も微調整が続きましたが、1973年になってようやく法律によって 「直線の剣」「柄は右、切っ先は左」「特定の緑色」 という現在の厳密なデザインが標準化されました。
5. 知っておきたい豆知識(トリビア)
- 「縦」に吊るすための専用国旗がある 万国博覧会や国際会議などで、スペースの都合上、国旗を「縦(垂直)」に吊るさなければならないことがあります。しかし、サウジアラビア国旗をそのまま縦に吊るすと、神聖な文字が横倒しになってしまいます。 これを避けるため、サウジアラビアには 「縦吊り専用の国旗」 が存在します。これは、布の向きを縦にしたうえで、 中の文字と剣の向きを90度回転させ、文字がきちんと水平に読めるように特別にデザインし直されたもの です。
- 旗竿(ポール)の位置が普通と逆 一般的な国旗は、旗の「左側」をポールに固定して風になびかせます。しかしサウジアラビアの国旗は、アラビア語を右から左へ読むという特性上 旗の「右側」をポールに固定するのが正式な掲揚方法 です(これを「右ホイスト」と呼びます)。
以上のように、サウジアラビアの国旗は、単なる国家のシンボルという枠を超え、イスラムの教えそのものを体現した 「世界で最も厳格で、最も神聖なルールに守られた国旗」 なのです。
素材について
サウジアラビアの国旗は、世界にあるすべての国旗の中で「最も宗教的に神聖」であり、同時に「世界一取り扱いのルールが厳しい国旗」と言っても過言ではありません。イスラム教の根幹をなす言葉が刻まれているため、他の国旗には見られない驚くべきタブーや独自の製法が存在します。詳しく解説していきましょう。
1. デザインと「文字・剣」の意味
深い緑色の背景に、白いアラビア文字と一本の剣が描かれています。それぞれの要素が、イスラム教と国家の成り立ちを強く象徴しています。
- 緑色(背景) イスラム教における 「最も神聖な色(シンボルカラー)」 です。預言者ムハンマドが好んだ色とされ、砂漠の民にとって生命の象徴である「オアシス(水と植物)」や「天国」を表しています。
- 白いアラビア文字(シャハーダ) 国旗の中央に美しく流麗な「スルス体」という書体で書かれているのは、イスラム教の最も重要な信仰告白(シャハーダ)です。 「アッラーのほかに神はなし、ムハンマドはアッラーの使徒である」 この一文が刻まれているため、サウジアラビアの国旗は単なる国の布切れではなく、 「コーラン(聖典)と同等の神聖なもの」 として扱われます。
- 白い剣 文字の下に引かれた一本の真っ直ぐな剣は、 「正義の厳格な適用」 と、サウジアラビア王国を建国した初代国王(イブン・サウード)の 「軍事的な勝利」 を象徴しています。また、「信仰(上の文字)を正義の力(下の剣)で守り抜く」という意味も込められています。
2. 世界一厳しい! サウジアラビア国旗の「絶対ルール」
この国旗には、神聖な神の名(アッラー)が書かれているがゆえの、他国にはない厳格なルールが存在します。
① 「半旗」にしてはならない(絶対不可) 世界中の国々では、国家元首が亡くなったり大災害が起きたりした際、哀悼の意を示すために国旗をポールの中腹まで下げる「半旗」を行いますが、 サウジアラビアの国旗を半旗にすることは法律で固く禁じられています。 たとえサウジアラビアの国王が崩御した時であっても、絶対に下げられません。「神(アッラー)の言葉を低い位置に下げることは、神への冒涜にあたる」からです。(※同様の理由で、同じく神の言葉が書かれているイラクやアフガニスタンの旧国旗なども半旗が禁止されることがあります)。
② 服やボール、使い捨ての物に印刷してはならない 神聖な文字が書かれたこのデザインを、Tシャツやクッション、カーペットなどにプリントすることは 「尻に敷いたり、汗水で汚したりする可能性があるため」厳禁 です。
- サッカーボール事件(2002年):日韓ワールドカップの際、FIFA(国際サッカー連盟)が記念グッズとして「出場全カ国の国旗をプリントしたサッカーボール」を製造しようとしました。しかしサウジアラビア政府が 「神の御名を足で蹴るなど言語道断だ!」 と猛抗議し、サウジアラビアの国旗だけボールへのプリントが中止されるという事件がありました。
3. 表と裏が違う?「特殊な縫製ルール」
サウジアラビアの国旗は、一枚の布の裏表に印刷されているわけではありません。
アラビア語は「右から左」へ読みます。もし一枚の布の裏側に文字が透けて見えた場合、裏から見ると文字が「鏡文字(反転)」になってしまい、意味が読めなくなってしまいます。神の言葉が読めない状態になることは許されません。 そのため、公式なサウジアラビアの国旗は 「表用に正しく印刷された布」と「裏用に正しく印刷された布」の2枚を、背中合わせに縫い合わせて作られます。 これにより、風の向きに関わらず、左右どちらから見てもシャハーダが正しく「右から左」へ読めるようになっています。
さらに、下にある「剣」も、文字を読む方向(右から左)に合わせて、 常に剣の柄(持ち手)が右側、剣の先が左側を向くように デザインされています。
4. 国旗の歴史と由来:王国の建国とともに
サウジアラビアという国は「サウード家」という一族がアラビア半島を統一して作った国です。国旗もその歴史とともに変化しました。
① 剣のない緑の旗(18世紀〜) 18世紀、現在のサウジアラビアの源流となる「第一次サウード王国」が誕生した際、彼らは厳格なイスラム改革運動(ワッハーブ派)と結びついていました。この時からすでに、緑色の背景に白い文字(シャハーダ)を書いた旗を使っていました。この時はまだ「剣」はありませんでした。
② 剣の追加(1902年〜) 20世紀初頭、初代国王となるイブン・サウードがリヤドを奪還し、アラビア半島の統一戦争を始めました。この統一の過程で、軍事的な力と正義を示す「剣」が旗に追加されました。当初は剣が2本交差していたり、剣の形が三日月刀(大きく湾曲した剣)だったりと、デザインにばらつきがありました。
③ 現在のデザインの確立(1973年) 1932年に「サウジアラビア王国」が正式に建国された後も微調整が続きましたが、1973年になってようやく法律によって 「直線の剣」「柄は右、切っ先は左」「特定の緑色」 という現在の厳密なデザインが標準化されました。
5. 知っておきたい豆知識(トリビア)
- 「縦」に吊るすための専用国旗がある 万国博覧会や国際会議などで、スペースの都合上、国旗を「縦(垂直)」に吊るさなければならないことがあります。しかし、サウジアラビア国旗をそのまま縦に吊るすと、神聖な文字が横倒しになってしまいます。 これを避けるため、サウジアラビアには 「縦吊り専用の国旗」 が存在します。これは、布の向きを縦にしたうえで、 中の文字と剣の向きを90度回転させ、文字がきちんと水平に読めるように特別にデザインし直されたもの です。
- 旗竿(ポール)の位置が普通と逆 一般的な国旗は、旗の「左側」をポールに固定して風になびかせます。しかしサウジアラビアの国旗は、アラビア語を右から左へ読むという特性上 旗の「右側」をポールに固定するのが正式な掲揚方法 です(これを「右ホイスト」と呼びます)。
以上のように、サウジアラビアの国旗は、単なる国家のシンボルという枠を超え、イスラムの教えそのものを体現した 「世界で最も厳格で、最も神聖なルールに守られた国旗」 なのです。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | サウジアラビアの国旗 |
|---|---|
| キーワード | サウジアラビア, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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