オーストリアの国旗について
オーストリアの国旗は、上から赤・白・赤の横三色旗です。一見すると非常にシンプルでオーソドックスなデザインですが、実はデンマーク国旗と並んで世界最古の国旗の一つとされており、その誕生の裏には「十字軍の戦いにおける、血塗られた恐ろしい伝説」が隠されています。
1. デザインと色の意味
赤・白・赤が「1:1:1」の均等な幅で水平に並ぶ横三色旗です。
- 赤色 国家を守るために戦場で流された 「愛国者の血」「勇敢さ」「強さ」 を象徴しています。
- 白色 オーストリアの首都ウィーンを流れる母なる川 「ドナウ川の清らかな水の流れ」 を表しています。また 「真実」「誠実」「平和」 といった意味も込められています。
2. 国旗の歴史と由来:血で染まった純白の軍服(1191年)
オーストリア国旗の由来には、ヨーロッパの国旗の歴史の中でも群を抜いてドラマチックで生々しい「伝説」が存在します。
① 第3回十字軍とレオポルト5世の激闘 1191年、聖地エルサレムの奪還を目指す「第3回十字軍」において、アッコン(現在の中東イスラエル北部)という街の過酷な包囲戦が行われていました。 この戦いに参加していたのが、オーストリア公であるバーベンベルク家のレオポルト5世です。
② 血塗られた軍服と「白い帯」 レオポルト5世は、最前線で自ら剣を振るって凄まじい戦いを繰り広げました。激闘が終わった後、彼が着ていた純白の軍服(チュニック)は敵の返り血を浴びて全身が真っ赤に染まりきっていました。 しかし、彼が腰に巻いていた「剣を吊るすための太いベルト(帯革)」を外すと、ベルトの下になっていた部分だけは血に染まらず「真っ白な一本の筋(帯)」として残っていました。
③ 神聖ローマ皇帝からの授与 この「全身真っ赤な血に染まり、腰の部分だけが白い」という強烈な光景を見た神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世は、レオポルト5世の勇敢な戦いぶりを大いに称賛し 「その赤・白・赤の模様を、お前の軍旗(家紋)として使うことを許す」 と命じました。 これが、現在のオーストリア国旗の「赤・白・赤」のルーツであると広く語り継がれています。 (※史実としては、13世紀中頃のフリードリヒ2世の時代に、バーベンベルク家の紋章として公式に採用されたことが確認されています)。
3. もう一つの顔:「政府旗」に描かれた黒い鷲の秘密
オーストリアには、一般市民が使う「無地の赤・白・赤」の国旗(市民旗)とは別に、政府機関などが使う 政府旗 が存在します。 この政府旗のど真ん中には、オーストリアの国章である「黒い鷲(連邦鷲)」が描かれていますが、この鷲には国家の歴史のすべてが詰め込まれています。
- 頭の「城壁冠(城の壁の形をした王冠)」 ブルジョワジー(市民階級)を表しています。
- 右足の「鎌(かま)」 農民階級を表しています。
- 左足の「鎚(ハンマー)」 労働者階級を表しています。 ※つまり、この3つで「市民・農民・労働者の統合(共和国としての平等)」を意味しています。(ソ連の鎌と槌に似ていますが、共産主義の意味合いはありません)。
- 【最も重要】足に巻き付いた「引きちぎられた鉄の鎖」 両足を見ると、千切れた鉄の鎖がぶら下がっています。これは第二次世界大戦後の1945年に新しく追加されたもので「ナチス・ドイツの独裁(併合)からの解放と、自由の回復」を強烈に象徴しています。
4. 知っておきたい豆知識(トリビア・激似の国旗)
- ラトビア国旗との「激似」問題
バルト三国のひとつ「ラトビア」の国旗も、オーストリアと同じ「赤・白・赤」の横三色旗です。しかし、2つの明確な違いがあります。
- 色の濃さ:ラトビアの赤は、血のように黒ずんだ「えんじ色(カーマインレッド)」です。
- 比率:オーストリアが「1:1:1」の均等な幅なのに対し、ラトビアは「2:1:2」で 真ん中の白い帯が細くなっています。 ※偶然にも、ラトビアの国旗にも「瀕死の重傷を負った部族長の白いシーツが血で染まり、真ん中だけ白く残った」という、オーストリアとそっくりな血塗られた伝説があります。
- レバノン国旗との違い 中東のレバノンの国旗も「赤・白・赤」の横縞ですが、真ん中の白い部分が太く(1:2:1)、そのど真ん中に緑色の「レバノンスギ(木)」が描かれているため見分けは容易です。
- 海軍旗は存在しない? 現在のオーストリアは海に面していない内陸国であるため、海軍旗や商船旗(海で使う旗)という概念が実質的に存在しません。 しかし、かつての「オーストリア=ハンガリー帝国」時代には強大な海軍を擁しており、赤白赤の旗の右側にハンガリーの国章(赤白緑)を合体させた、非常に複雑でかっこいい二重帝国の国旗が存在していました。
- 「オーストラリア」との勘違い 国名が似ている「オーストラリア(Australia)」と「オーストリア(Austria)」ですが、オーストラリアの国旗は青地にイギリスの国旗(ユニオンジャック)と南十字星が描かれた全く違うデザインです。 オーストリアのお土産屋さんには、この間違いを逆手にとった 「No Kangaroos in Austria(オーストリアにカンガルーはいないよ)」 と書かれたTシャツやグッズが売られており、定番のジョークになっています。
以上のように、オーストリアの国旗は「世界最古級の歴史」と「十字軍の血塗られた伝説」から生まれ、政府旗の千切れた鎖には「ナチスからの解放」という近代の痛ましい歴史の教訓が刻まれている、非常に奥深い国旗なのです。
素材について
オーストリアの国旗は、上から赤・白・赤の横三色旗です。一見すると非常にシンプルでオーソドックスなデザインですが、実はデンマーク国旗と並んで世界最古の国旗の一つとされており、その誕生の裏には「十字軍の戦いにおける、血塗られた恐ろしい伝説」が隠されています。
1. デザインと色の意味
赤・白・赤が「1:1:1」の均等な幅で水平に並ぶ横三色旗です。
- 赤色 国家を守るために戦場で流された 「愛国者の血」「勇敢さ」「強さ」 を象徴しています。
- 白色 オーストリアの首都ウィーンを流れる母なる川 「ドナウ川の清らかな水の流れ」 を表しています。また 「真実」「誠実」「平和」 といった意味も込められています。
2. 国旗の歴史と由来:血で染まった純白の軍服(1191年)
オーストリア国旗の由来には、ヨーロッパの国旗の歴史の中でも群を抜いてドラマチックで生々しい「伝説」が存在します。
① 第3回十字軍とレオポルト5世の激闘 1191年、聖地エルサレムの奪還を目指す「第3回十字軍」において、アッコン(現在の中東イスラエル北部)という街の過酷な包囲戦が行われていました。 この戦いに参加していたのが、オーストリア公であるバーベンベルク家のレオポルト5世です。
② 血塗られた軍服と「白い帯」 レオポルト5世は、最前線で自ら剣を振るって凄まじい戦いを繰り広げました。激闘が終わった後、彼が着ていた純白の軍服(チュニック)は敵の返り血を浴びて全身が真っ赤に染まりきっていました。 しかし、彼が腰に巻いていた「剣を吊るすための太いベルト(帯革)」を外すと、ベルトの下になっていた部分だけは血に染まらず「真っ白な一本の筋(帯)」として残っていました。
③ 神聖ローマ皇帝からの授与 この「全身真っ赤な血に染まり、腰の部分だけが白い」という強烈な光景を見た神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世は、レオポルト5世の勇敢な戦いぶりを大いに称賛し 「その赤・白・赤の模様を、お前の軍旗(家紋)として使うことを許す」 と命じました。 これが、現在のオーストリア国旗の「赤・白・赤」のルーツであると広く語り継がれています。 (※史実としては、13世紀中頃のフリードリヒ2世の時代に、バーベンベルク家の紋章として公式に採用されたことが確認されています)。
3. もう一つの顔:「政府旗」に描かれた黒い鷲の秘密
オーストリアには、一般市民が使う「無地の赤・白・赤」の国旗(市民旗)とは別に、政府機関などが使う 政府旗 が存在します。 この政府旗のど真ん中には、オーストリアの国章である「黒い鷲(連邦鷲)」が描かれていますが、この鷲には国家の歴史のすべてが詰め込まれています。
- 頭の「城壁冠(城の壁の形をした王冠)」 ブルジョワジー(市民階級)を表しています。
- 右足の「鎌(かま)」 農民階級を表しています。
- 左足の「鎚(ハンマー)」 労働者階級を表しています。 ※つまり、この3つで「市民・農民・労働者の統合(共和国としての平等)」を意味しています。(ソ連の鎌と槌に似ていますが、共産主義の意味合いはありません)。
- 【最も重要】足に巻き付いた「引きちぎられた鉄の鎖」 両足を見ると、千切れた鉄の鎖がぶら下がっています。これは第二次世界大戦後の1945年に新しく追加されたもので「ナチス・ドイツの独裁(併合)からの解放と、自由の回復」を強烈に象徴しています。
4. 知っておきたい豆知識(トリビア・激似の国旗)
- ラトビア国旗との「激似」問題
バルト三国のひとつ「ラトビア」の国旗も、オーストリアと同じ「赤・白・赤」の横三色旗です。しかし、2つの明確な違いがあります。
- 色の濃さ:ラトビアの赤は、血のように黒ずんだ「えんじ色(カーマインレッド)」です。
- 比率:オーストリアが「1:1:1」の均等な幅なのに対し、ラトビアは「2:1:2」で 真ん中の白い帯が細くなっています。 ※偶然にも、ラトビアの国旗にも「瀕死の重傷を負った部族長の白いシーツが血で染まり、真ん中だけ白く残った」という、オーストリアとそっくりな血塗られた伝説があります。
- レバノン国旗との違い 中東のレバノンの国旗も「赤・白・赤」の横縞ですが、真ん中の白い部分が太く(1:2:1)、そのど真ん中に緑色の「レバノンスギ(木)」が描かれているため見分けは容易です。
- 海軍旗は存在しない? 現在のオーストリアは海に面していない内陸国であるため、海軍旗や商船旗(海で使う旗)という概念が実質的に存在しません。 しかし、かつての「オーストリア=ハンガリー帝国」時代には強大な海軍を擁しており、赤白赤の旗の右側にハンガリーの国章(赤白緑)を合体させた、非常に複雑でかっこいい二重帝国の国旗が存在していました。
- 「オーストラリア」との勘違い 国名が似ている「オーストラリア(Australia)」と「オーストリア(Austria)」ですが、オーストラリアの国旗は青地にイギリスの国旗(ユニオンジャック)と南十字星が描かれた全く違うデザインです。 オーストリアのお土産屋さんには、この間違いを逆手にとった 「No Kangaroos in Austria(オーストリアにカンガルーはいないよ)」 と書かれたTシャツやグッズが売られており、定番のジョークになっています。
以上のように、オーストリアの国旗は「世界最古級の歴史」と「十字軍の血塗られた伝説」から生まれ、政府旗の千切れた鎖には「ナチスからの解放」という近代の痛ましい歴史の教訓が刻まれている、非常に奥深い国旗なのです。
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詳細データ・リンク
| 素材名 | オーストリアの国旗 |
|---|---|
| キーワード | オーストリア, 国旗 |
| 制作者 (Creator) | 3kaku-K |
| 著作権 (Copyright) | 3kaku-K |
| クレジット (Credit) | freesozai.jp |
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